神奈川皮膚のできものと粉瘤クリニック古林形成外科横浜院

医療コラム

太もものしこりは脂肪腫?注意したいサインと受診の目安を専門医が解説

太もものしこりは脂肪腫?注意したいサインと受診の目安を専門医が解説

神奈川県横浜市の「神奈川皮膚のできものと粉瘤クリニック 古林形成外科横浜院」です。当院では、脂肪腫や粉瘤など、皮膚のできものを日帰り手術で治療しています。

太ももを触ったときにしこりを見つけて、「これは何だろう」と気になっていませんか。太もものしこりの多くは良性のできもので、なかでもよくみられるのが、「脂肪腫」というやわらかい腫瘍です。ただし、まれに悪性のしこりもあるため、注意したいサインを知っておくことが大切です。

この記事では、太ももにできる脂肪腫の特徴、間違えやすいしこりとの違い、注意したいサイン、受診の目安と治療法をわかりやすく解説します。

太もものしこりは脂肪腫の可能性|まず「痛み」と「深さ」を確認

太もものしこりの原因として多いもののひとつが、脂肪腫です。

脂肪腫は、皮膚の下で脂肪細胞が増えてできる良性腫瘍で、皮膚の下にできる腫瘍の中ではよくみられる疾患です。背中や肩、首のほか、太ももなど体に近い側の腕や脚にもできやすいとされています。

ただし、太もものしこりの原因は脂肪腫だけではありません。粉瘤や毛嚢炎のほか、打撲のあとにできるしこりや、太ももの付け根であればリンパ節の腫れなど、さまざまなしこりがあります。

見分けるための手がかりになるのが、「痛みがあるか」と「どのくらい深い場所にあるか」です。

  • 痛みがなく、やわらかくて皮膚の下で動く:脂肪腫など
  • 赤く腫れて痛む:炎症を起こした粉瘤、毛嚢炎など
  • ぶつけたあとにでき、押すと痛む:打撲のあとのしこりなど
  • 深い場所にあり、動きにくい:筋肉の中にできた脂肪腫、まれに悪性腫瘍など

これらはあくまで見分けるための目安です。触った感じだけでは区別がつかないことも多く、診断のためには超音波検査などを用いた医師の診察が必要です。

太ももにできる脂肪腫の特徴

やわらかく動き、痛みがないことが多い

太ももの脂肪腫は、やわらかく弾力のあるしこりとして触れ、指で押すと皮膚の下で動くのが特徴です。皮膚の表面に赤みなどの変化はなく、通常は押しても痛みはありません。

太ももは衣服に隠れていることが多い場所のため、入浴や着替えのときに、ふと手が触れて気づくことがあります。

脂肪腫は自然に消えることはなく、時間をかけてゆっくり大きくなります。大きさは数mmのものから10cmを超えるものまでさまざまです。

脂肪腫ができる原因については「脂肪腫はなぜできる?原因と発生しやすい人の特徴を解説!」で詳しく解説しています。

筋肉の中にできる脂肪腫もある

脂肪腫には、皮膚のすぐ下にできるタイプのほか、筋肉の中や筋肉と筋肉の間など、深い場所にできるタイプもあります。

深い場所にできた脂肪腫は動きにくく、触っただけでは大きさや広がりがわかりにくいことがあります。

また、筋肉の中にできた脂肪腫は、脂肪からできる悪性腫瘍(脂肪肉腫)と、触った感じや画像検査での見え方が似ていることがあります。そのため、深い場所にあるしこりは、MRIなどの画像検査で広がりを確かめたうえで、治療を考えます。

脂肪腫と間違えやすい太もものしこり

粉瘤との違い

粉瘤は、皮膚の下にできた袋の中に、垢や皮脂がたまってできる良性腫瘍です。体のどこにでもでき、太ももにもよくみられます。

脂肪腫との違いは、しこりの中央に黒い点のような小さな開口部が見られることが多い点です。押すと臭いのある白っぽい内容物が出ることがあり、細菌が入ると赤く腫れて痛みます。脂肪腫には開口部がなく、炎症を起こすこともほとんどありません。

脂肪腫と粉瘤の違いは「脂肪腫と粉瘤の違いとは?見分け方・原因・治療法を専門医が解説」で詳しく解説しています。

毛嚢炎・おでき

毛嚢炎は、毛穴に細菌が入り込んで炎症を起こした状態で、小さな赤いぶつぶつや、中心に膿をもったできものとして現れます。炎症が毛穴の奥まで広がり、大きく腫れて痛むものを「せつ(おでき)」と呼びます。

太ももの内側は、歩くたびに肌がこすれたり、汗で蒸れたりしやすいため、毛嚢炎やおできができやすい場所です。赤みや痛み、熱っぽさを伴う点が、痛みのない脂肪腫との違いです。

打撲のあとのしこり

太ももをぶつけたあと、筋肉の中や皮膚の下に血がたまり、しこりのように触れることがあります。多くは、あざが引いていくのと同じように、時間とともに小さくなっていきます。

一方、脂肪腫は自然に小さくなることはありません。数週間たっても小さくならないしこりや、ぶつけた覚えがないのに大きくなるしこりは、打撲によるものとは分けて考えます。

太ももの付け根のしこり

太ももの付け根(鼠径部)には、リンパ節が集まっています。足のけがや水虫、陰部の感染症などがあると、リンパ節が腫れて、押すと痛むしこりとして触れることがあります。

また、立ったときやおなかに力を入れたときにふくらみ、横になると引っ込むしこりは、鼠径ヘルニア(脱腸)の可能性もあります。付け根のしこりは、脂肪腫や粉瘤とは別の原因も考える必要があります。

太もものしこりは癌?注意したいしこりのサイン

太もものしこりの多くは、脂肪腫や粉瘤などの良性のものです。ただし、まれに「軟部肉腫」と呼ばれる悪性腫瘍が、しこりとして見つかることがあります。

軟部肉腫は、脂肪や筋肉、血管など、体を支える組織からできる悪性腫瘍です。人口10万人あたり6人未満の珍しいがんですが、太ももなどの手足にできやすいとされています。

軟部肉腫では痛みを感じにくいことが多く、体の深い場所にできた場合は、大きくなってから気づくこともあります。痛みがないからといって、良性とは言い切れません。

海外の診療ガイドラインでは、次のようなしこりは悪性の可能性も考えて、詳しく調べるべきとされています1)。

  • 大きさが5cmを超える
  • だんだん大きくなっている
  • 筋肉に近い深い場所にある

なかでも、脂肪からできる「脂肪肉腫」は脂肪腫とよく似ていて、触った感じや画像検査だけでは区別が難しいことがあります。脂肪腫と脂肪肉腫の違いについては「脂肪腫は悪性になる?脂肪肉腫との違いと受診すべき症状」で詳しく解説しています。

良性か悪性かを最終的に判断するには、超音波検査やMRIなどの画像検査に加えて、しこりの組織を顕微鏡で調べる病理検査が必要になる場合があります。

受診の目安と治療法

何科を受診する?

太もものしこりが脂肪腫や粉瘤などの皮膚のできものと考えられる場合は、形成外科または皮膚科が受診先です。脂肪腫も粉瘤も、治療は手術による摘出が基本となるため、皮膚の下のできものの手術を扱うこれらの診療科が適しています。

一方、しこりの場所や症状によっては、別の診療科が適していることもあります。

  • 太ももの付け根にあり、立つとふくらむ:外科(鼠径ヘルニアの可能性)
  • 赤く腫れて痛む、膿が出る:皮膚科または形成外科
  • 筋肉の深い場所にあり、大きくなっている:整形外科(骨や筋肉の腫瘍を扱う診療科)

「どの科に行けばよいか分からない」という場合は、まずは形成外科や皮膚科でご相談ください。診察のうえ、必要に応じて適切な医療機関をご紹介します。

特に、しこりが5cmを超える、少しずつ大きくなっている、硬くて動かないという場合は、早めに受診しましょう。

脂肪腫で受診する診療科については「脂肪腫は何科を受診すべき?診療科と治療方法を解説!」で詳しく解説しています。

治療は手術による摘出(保険適用)

脂肪腫の治療は、手術による摘出です。脂肪腫と診断された場合の手術は健康保険が適用され、摘出した組織は病理検査で確認します。多くの場合、局所麻酔による日帰り手術が可能で、摘出後に再発することはまれです。

ただし、筋肉の中にある脂肪腫や、とても大きな脂肪腫は、MRIなどで広がりを確かめたうえで、入院設備のある医療機関での手術を検討することもあります。

形成外科では、傷跡ができるだけ目立たないよう、切開の位置や向きに配慮して手術を行います。しこりが小さいうちに摘出するほど、切開する範囲も小さく済みます。

手術の費用については「脂肪腫の手術費用と保険適用についてわかりやすく解説!」で解説しています。

よくある質問

Q1. 太もものしこりが急に大きくなりました。癌でしょうか?

急に大きくなったからといって、癌とは限りません。粉瘤が炎症を起こして腫れた場合や、打撲で血がたまった場合も、短い期間でしこりが大きくなります。ただし、数週間から数か月かけて少しずつ大きくなっている場合や、5cmを超える場合は、悪性腫瘍の可能性も考えて詳しく調べる必要があります。

Q2. 押すと痛いしこりと痛くないしこり、どちらが危険ですか?

痛みの有無だけでは、危険かどうかは判断できません。押すと痛むしこりは、炎症を起こした粉瘤や毛嚢炎、打撲のあとのしこりであることが多いです。一方、軟部肉腫では痛みを感じにくいことが多いため、痛くないしこりでも、大きくなっている場合は注意が必要です。

Q3. 太もものしこりは自然に消えますか?

打撲のあとのしこりや毛嚢炎は、時間とともに小さくなることがあります。一方、脂肪腫や粉瘤は自然に消えることはなく、取り除くには手術が必要です。

Q4. 太ももの脂肪腫を放置するとどうなりますか?

脂肪腫は良性の腫瘍で、すぐに健康に影響が出ることは多くありません。ただし、自然に消えることはなく、時間をかけて少しずつ大きくなります。大きくなるほど、摘出手術で切開する範囲も広がります。そのため、早期治療をおすすめします。

まとめ|太もものしこりが気になったら早めに受診を

太もものしこりの原因のひとつに、良性腫瘍の脂肪腫があります。やわらかく動き、通常は痛みがありませんが、筋肉の中など深い場所にできることもあります。

ただし、太ももには粉瘤や毛嚢炎、打撲のあとのしこりなど、脂肪腫と間違えやすいしこりも多く、触っただけで区別するのは難しいです。まれに軟部肉腫という悪性腫瘍が見つかることもあるため、痛みがなくても、5cmを超える、だんだん大きくなる、深い場所にあるといった場合には注意が必要です。

太もものしこりに気づいたら、自己判断で放置せず、形成外科などの医療機関へご相談ください。

脂肪腫の治療は当院までご相談ください

神奈川皮膚のできものと粉瘤クリニック 古林形成外科横浜院

神奈川県横浜市の「神奈川皮膚のできものと粉瘤クリニック 古林形成外科横浜院」では、脂肪腫や粉瘤をはじめとする皮膚のできものに対し、日帰り手術による治療を行っています。

当院では、日本形成外科学会認定の形成外科専門医が診療を担当しています。しこりの大きさや深さ、状態を確認したうえで、患者さま一人ひとりに応じた治療をご提案しています。手術では、傷跡ができるだけ目立たないよう配慮します。悪性が疑われる場合や、入院での手術が必要な場合は、連携する医療機関をご紹介します。

太もものしこりや脂肪腫が疑われる症状が気になる方は、当院へご相談ください。

お電話でのご予約は、診療時間内にお願いいたします。

参考文献

1) Gronchi A, et al. Soft tissue and visceral sarcomas: ESMO–EURACAN–GENTURIS Clinical Practice Guidelines for diagnosis, treatment and follow-up. Ann Oncol. 2021;32(11):1348-1365. doi:10.1016/j.annonc.2021.07.006

この記事を書いた人

著者画像
神奈川皮膚のできものと粉瘤クリニック
院長 大峯 啓志

神奈川皮膚のできものと粉瘤クリニック 古林形成外科横浜院では、皮膚疾患を専門とする日本形成外科学会認定の形成外科専門医が診療を担当しています。当院では、粉瘤、脂肪腫、眼瞼下垂、耳垂裂などの疾患に対応した日帰り手術をはじめ、形成外科全般の診療を行っています。

神奈川皮膚のできものと粉瘤クリニック 古林形成外科横浜院では、皮膚疾患を専門とする日本形成外科学会認定の形成外科専門医が診療を担当しています。当院では、粉瘤、脂肪腫、眼瞼下垂、耳垂裂などの疾患に対応した日帰り手術をはじめ、形成外科全般の診療を行っています。

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