爪の黒い線は危険?メラノーマとの見分け方と受診が必要なサイン
神奈川県横浜市の「神奈川皮膚のできものと粉瘤クリニック 古林形成外科横浜院」です。当院では、日本形成外科学会認定の形成外科専門医が、皮膚がんを含む皮膚疾患の診察と治療を行っています。
爪に現れる黒い線は、体質や加齢などによる良性の変化であることが多い一方で、まれに皮膚がんなど注意が必要な病気が隠れている場合もあります。見た目だけで良性かどうかを判断することは難しく、放置してよいのか、それとも受診すべきなのか迷う方も少なくありません。
この記事では、爪に黒い線が現れる主な原因を整理したうえで、特に注意が必要なケースや診療科まで分かりやすく解説します。
爪に黒い線が入るのはなぜ?考えられる主な原因

爪に黒い線(黒色や褐色の縦線)が入る状態は、医学的には「メラノニキア」と総称されます。原因は良性のものから注意が必要な悪性まで幅広く、見た目だけで判断が難しいケースもあります。ここでは、代表的な原因について解説します。
メラニン色素の沈着
最も多い原因の一つが、メラニン色素の増加による色素沈着です。体質や加齢、妊娠などによるホルモンバランスの変化、薬剤の影響、爪への慢性的な刺激などが関与すると考えられています。
爪に現れる黒い線は縦方向で、薄い茶色から黒色まで色調に幅があり、比較的境界がはっきりしているのが特徴です。複数の爪に同時にみられることも多く、多くは良性で経過します。
外傷による内出血
外傷による内出血も、爪に黒い線が生じる原因となります。強くぶつけた記憶がなくても、日常生活やスポーツ、靴による圧迫などの軽微な外力が繰り返し加わることで、爪の下に出血が起こることがあります。
この場合、爪の成長とともに黒い部分が先端方向へ移動していく点が特徴です。
爪の感染症
頻度は高くありませんが、細菌や真菌(カビ)などの感染症によって爪の色が変化することもあります。黒色や緑がかった変色に加え、爪が厚くなる、もろくなる、変形するなどの変化を伴うことが多く、色素沈着とは違った経過をたどります。
皮膚がん(悪性黒色腫)
注意が必要なのが、爪の下に発生する悪性黒色腫(メラノーマ)です。初期段階では黒い縦線として現れることがあり、良性の色素沈着と区別がつきにくい場合もあります。しかし、一本の爪だけに生じている、色が不均一で徐々に濃くなっている、線が太くなってきている、爪の周囲の皮膚にまで黒ずみが広がっているといった変化がみられる場合には、注意が必要です。
進行すると命に関わる疾患であるため、早期発見と早期治療が重要です。
爪の黒い線がメラノーマの場合にみられる特徴

爪に現れる黒い線の中で、特に注意が必要なのが、爪の下に発生する悪性黒色腫(メラノーマ)です。頻度は高くありませんが、進行すると命に関わる可能性があるため、早期に異変に気づくことが重要です。以下のような特徴がみられる場合には、単なる色素沈着とは異なる可能性があります。
一本の爪だけに黒い線が現れる
多くの場合、黒い線は一本の爪のみに現れます。良性のメラノニキアでは複数の爪に同時にみられることが多いのに対し、メラノーマでは特定の一本に限局して出現する傾向があります。
色が不均一で、徐々に濃くなる
色調が均一ではなく、黒色や濃褐色、灰色などが混在し、時間の経過とともに色が濃くなったり変化したりする点も特徴です。また、黒い線の幅が徐々に広がったり、爪の根元側が太くなってきたりする変化も重要なサインとされます。
黒い線が爪の周囲の皮膚に広がる
黒い線が爪の中だけにとどまらず、爪の周囲の皮膚(甘皮部分)にまで広がることがあります。このような爪周囲皮膚への色素沈着は、メラノーマを疑う重要な所見の一つです。
爪の変形や出血を伴う
その他、爪が割れる、変形する、浮いてくる、出血を伴うなど、爪そのものの構造変化がみられることもあります。痛みを伴わない場合も多いため、症状が軽く感じられても、見た目の変化を見逃さないことが大切です。
日本人に多い爪下のメラノーマとは

悪性黒色腫(メラノーマ)は皮膚がんの一種ですが、日本人では欧米人とは発生部位の傾向が異なることが知られています。欧米では体幹や四肢など紫外線が当たりやすい部位に多い一方で、日本人を含むアジア人では、手足の末端や足の裏、爪の下など、紫外線の影響を受けにくい部位に発生するタイプが多いのが特徴です。その代表例が爪下のメラノーマです。
このタイプは初期症状が目立ちにくいため、発見が遅れやすい傾向があります。爪下にできるメラノーマは、初期には「爪に黒い縦線が入っただけ」のように見えることが多く、加齢や体質による色素沈着と誤認されやすい点が特徴です。「打撲した覚えがないのに黒い線が消えない」「爪が伸びても黒い部分が先端へ移動しない」といった経過をたどることも少なくありません。
爪下は構造上、皮膚の変化や腫瘍の広がりが外から分かりにくく、診断が遅れると進行した状態で発見されることがあります。進行するとリンパ節や他臓器へ転移するリスクが高まり、予後に大きく影響するため、早期発見が極めて重要です。
爪の黒い線がすべてメラノーマというわけではありませんが、日本人に多いという特徴を理解したうえで、「よくある変化」と自己判断せず、変化が続く場合や不安がある場合には、早めに専門医を受診することが重要です。
爪の黒い線は何科を受診すべきか

爪に黒い線が現れた場合、受診を検討すべき診療科は皮膚科、または形成外科です。爪は皮膚の一部(皮膚付属器)であり、爪の色調変化や線状の色素沈着は、皮膚科および形成外科の専門領域に含まれます。
皮膚科や形成外科では、黒い線が爪のどの部分から生じているのか、良性の変化なのか、あるいは精密検査が必要な病変なのかを総合的に判断します。診察では視診に加え、ダーモスコピー(皮膚拡大鏡)を用いて、色素の分布や境界、濃淡の変化などを詳しく確認します。これにより、単なる色素沈着や良性のメラノニキアか、悪性を含む注意が必要な病変かを医学的に評価することが可能です。
皮膚科は色素病変の診断や経過観察を得意としています。一方、形成外科では、必要に応じて生検や外科的切除などの処置まで一貫して対応できる点が強みです。少しでも不安を感じる症状がある場合には、自己判断せず、早めに皮膚科または形成外科を受診することが重要です。
メラノーマなど皮膚がんの治療は当院までご相談ください

神奈川県横浜市にある「神奈川皮膚のできものと粉瘤クリニック 古林形成外科横浜院」では、日本形成外科学会認定の形成外科専門医が、メラノーマなど皮膚がんに対して専門的な知識と経験に基づいた診断と治療を行っています。
爪下のメラノーマを含む皮膚がんは初期であれば、手術によって病変を完全に切除することで、高い確率で治癒が期待できます。しかし、進行するとリンパ節や内臓への転移、あるいは皮膚深部への浸潤リスクが高まり、より広範囲な手術や抗がん剤治療が必要となる場合があります。
気になる症状がある方や不安を感じている方は、早めに当院へご相談ください。




